公園のベンチ

人気狩場


 
1日目:一人で座っている時
1日目:ソロで狩る時
 
ここによく人が集まる公園があります。
ここによく人が来る人気狩場があります。
 
住宅街の近くにあり、ベンチがいくつかあるためゆっくり休めるともっぱらの評判です。
町の近くにあり、沸きがいいため経験値を多く稼げるともっぱらの評判です。
 
その噂を聞いてか、この公園にはよく人が集まります。
その噂を聞いてか、この狩場にはよく空きを探しにくる人がいます。
 
今日もまた何人かの人が公園に訪れたみたいです。
今日もまた何人かの人が空きを探しに来たみたいです。
 
 
 
 
Aさんという人がベンチで休むためにこの公園を訪れました。
Aさんという人が狩りをするためにこの人気狩場を訪れました。
 
早速ベンチを見つけましたがどうやら既に人が座っているみたいです。
狩場に到着してみたところどうやら既に狩っている人がいるみたいです。
 
Aさんはそそくさとその場を離れ、他にベンチがないか探し始めました。
Aさんはそそくさとチャンネル変更し、他に空きがないか探し始めました。
 
既に人が座っているベンチがいくつかありましたが、
既に狩っている人がいるチャンネルがいくつかありましたが、
 
ほどなくして誰も座っていないベンチを見つけることができました。
ほどなくして誰もいないチャンネルを見つけることができました。
 
そこでベンチに座り、ゆっくりと休むことにしました。
そこで狩りを始め、自分のペースで経験値を稼ぐことにしました。
 
 
 
しばらく座っていると、誰かに声をかけられました。
しばらく狩っていると、誰かに声をかけられました。
 
「隣、座ってもいいですか?」
「一緒に狩ってもいいですか?」
 
そう言われて声をかけられた方向を見てみると、自分よりも大きな荷物を持った人が立っていました。
そう言われて発言したキャラクターを見てみると、自分よりもレベルが結構高い人でした。
 
その荷物をベンチに置かれるとなると自分が座るスペースが狭くなってしまうので
一緒に狩られると自分の狩り速度では相手が狩る場所の沸きが追いつかなくなりそうなので
 
「すみません、他のベンチを探してもらえますか?」
「すみません、他のチャンネルを探してもらえますか?」
 
と、やんわりと断りました。
と、やんわりと断りました。
 
「そうですか」
「そうですか」
 
と、その人は言い、その場を去って行きました。
と、その人は言い、チャンネルを変えて行きました。
 
少し申し訳ない気もしましたが、Aさんは一人で座ることを選びました。
少し申し訳ない気もしましたが、Aさんは一人で狩ることを選びました。
  
 
2日目:一緒に座る時
2日目:グループ狩りをする時
 
 
 
次の日、たまたま空いているベンチを見つけたため、
次の日、たまたま空いているチャンネルを見つけたため、
 
Aさんが一人でベンチに座って休んでいると誰かが近づいてきました。
Aさんが一人で狩っていると誰かが近づいてきました。
 
「よろしければ隣に座ってもいいでしょうか?」
「よろしければ一緒に狩らせてもらえませんか?」
 
こう話しかけられ、その人を見てみると、自分と同じくらいの荷物を持った人が立っていました。
こう話しかけられ、その人を見てみると、自分と同じくらいのレベルの人でした。
 
「いいですよ、どうぞ」
「いいですよ、グル誘いますね」
 
自分が荷物を置いていてもまだベンチには座れるスペースがあったのでAさんは快く承諾しました。
自分一人だけで狩場の全ての敵を狩り切れるわけでもないのでAさんは快く承諾しました。
 
とりとめのない世間話をしつつ時が過ぎ、しばらくすると隣の人がおもむろに立ち上がり
とりとめのない会話をしたり無言で狩ったりして時が過ぎ、しばらくするとグループ員が近づいてきて
 
「そろそろ行きますね、ありがとうございました」
「そろそろ抜けますね、ありがとうございました」
 
と、お礼を言って去って行きました。
と、お礼を言って去って行きました。
 
褒められる程のいいことをしたとは思ってはいないけれど、Aさんはお礼を言われて悪い気はしませんでした。
褒められる程のいいことをしたとは思ってはいないけれど、Aさんはお礼を言われて悪い気はしませんでした。
 

 
3日目:荷物が置いてある時
3日目:放置している人がいる時
 
 
その次の日もAさんが座れるベンチを探していると、誰かの荷物が置いてあるベンチを見つけました。
その次の日もAさんが空いているチャンネルを探していると、誰かがじっとしたまま動かないところを見つけました。 
 
周囲を見渡してみましたが、持ち主がどこにいるかわかりません。
話しかけてみましたが反応がなく、どうやら放置のようです。
 
ひとまずその場を離れ、他にベンチがないか探してみることにしました。
ひとまずそのチャンネルを離れ、他に空きがないか探してみることにしました。
 
しばらく探していましたが、どうやらどのベンチも人が座っているようです。
しばらく探していましたが、どうやらどのチャンネルも狩っている人がいるようです。
 
そこで、先ほどの荷物が置いてあったベンチまで戻ってきました。
そこで、先ほど放置と思われる人が居たチャンネルに戻ってきました。
 
やはり周囲を見渡しても持ち主が見当たりません。
やはり話しかけても反応がありません。
 
他に座れるベンチもないのでここに座らせてもらうことにしました。
他に空いているチャンネルもないのでここで狩らせてもらうことにしました。
 
しばらく休んでいると人が近づいているのが見えました。
しばらく狩っていると人が近づいてくるのが見えました。
 
どうやら荷物の持ち主のようです。
どうやら放置していた人のようです。
 
「あ、他に空いているベンチがなかったので座らせてもらっています。よろしければご一緒にどうですか?」
「あ、話しかけても返事がなかったので狩らせてもらっています。よかったら一緒に狩りませんか?」
 
「いえ、大丈夫です」
「いえ、結構です」
 
そう言ってその人は荷物を持って去って行きました。
そう言ってその人はチャンネルを変えて去って行きました。
 
 
 
その後もしばらく座って休んでいると、どこからか声が聞こえてきました。
その後もしばらく狩っていると、チャットのログに拡声器が流れてきました。
 
よく聞いてみると、どうやら他にも荷物を置いて離れていた人がいたらしく、
よく見てみると、どうやら他のチャンネルにも放置していた人がいたらしく、
 
後からそれを見つけて座った人と言い争っているようでした。
後からそれを見つけて狩っていた人と言い争っているようでした。
 
「荷物を置いていたんだからここは俺が使うベンチだ」
「この場に居たんだからここは俺が使う狩場だ」
 
「あなたはここに座っていませんでしたよね?その場に居ないのにまるで自分の物のように言うのはおかしいでしょう」
「あなたは放置していて狩っていませんでしたよね?狩ってもいないのにまるで自分の物のように言うのはおかしいでしょう」
 
「さっきまで座っていてちょっと離れていたんだ。また座ろうと思っていたんだ、どいてくれ」
「さっきまで狩っていてちょっと離れていたんだ。また狩ろうと思っていたんだ、どいてくれ」
 
「これがあなたの荷物かどうかもわかりませんよ?こんなところに置いていてはたとえ盗まれたって文句は言えませんね」
「あなたがさっきまで狩っていた証拠なんてありませんよ?こんなところで放置していてはたとえMPKされても文句は言えませんね」
 
聞いていると片方が悪いと何となく思えるものの、不毛な言い争いでした。
見ていると片方が悪いと何となく思えるものの、不毛な言い争いでした。
 
周りに聞こえるような大声で叫ぶほどの内容とはとても思えません。
皆にログが見える拡声器を使うほどの内容とはとても思えません。
 
Aさんは自分が座っているところに荷物を置いていた人はすぐに去って行ったけど、
Aさんは自分が狩っているところで放置していた人はすぐに去って行ったけど、
 
たまたま運が良かっただけなのかなと思いました。
たまたま運が良かっただけなのかなと思いました。
 

 
4日目:何も言わずに座ってくる時
4日目:何も言わずに狩ってくる時
 
 
さらにその次の日、Aさんは今日もまたベンチに座っていました。
さらにその次の日、Aさんは今日もまたこの狩場で狩っていました。
 
しばらく座っていると、誰かが近づいてきていきなりベンチの空いているところへ腰かけてきました。
しばらく狩っていると、誰かが来ていきなり敵を倒してしまいました。
 
驚いてその人を見てみましたが、何も言わずにただ座っていました。
驚いてその人を見てみましたが、何も言わずにただただ狩っていました。
 
Aさんは少し顔をしかめましたが、気にしないでおこうと思いました。
Aさんは少し不快に感じましたが、気にしないでおこうと思いました。
 
しばらくするとその人はおもむろに立ち上がり、その場を去って行きました。
しばらくするとその人はおもむろに攻撃を止め、チャンネルを変えて行きました。
 
Aさんは何だったのかな?とは思いましたが、ベンチは自分の所有物というわけでもないし
Aさんは何だったのかな?とは思いましたが、狩場は自分の所有物というわけでもないし
 
そういう人も居るのだろうと割り切ることにしました。
そういう人も居るのだろうと割り切ることにしました。
 
 
 
しばらくしてまたどこからか話し声が聞こえてきました。
しばらくしてまた拡声器がログに流れてきました。
 
よく聞いてみると、どうやら先ほどの人が同じように何も言わずに他のベンチに腰掛け、
よく見てみると、どうやら先ほどの人が同じように何も言わずに他のチャンネルで狩りを始め、
 
先に座っている人と言い争いになっているようです。
先に狩っていた人と言い争いになっているようです。
 
「ちょっと、勝手に座らないでくれます?」
「ちょっと、勝手に狩らないでくれます?」
 
先に座っていた人がこう言うと
先に狩っていた人がこう言うと
 
「何だ?このベンチはあんたの所有物じゃないだろう?あんたの許可をもらう必要があるのか?」
「何だ?ここの狩場はあんたの所有物じゃないだろう?あんたの許可をもらう必要があるのか?」
 
と、言い返していました。
と、言い返していました。
 
「確かに私の所有物というわけではないですが、先に座っていた人がいるなら声をかけるものでしょう」
「確かに私の所有物というわけではないですが、先に狩っていた人がいるなら話しかけるものでしょう」
 
「そんなこと誰が決めた?誰のものでもないのならどうしようと勝手だろう」
「そんなこと誰が決めた?誰のものでもないのならどうしようと勝手だろう」
 
そんな会話が聞こえてきました。
そんな会話が流れてきました。
 
様子を見ているとマナーがなっていない、常識だ、遠慮というものを知らないのか、などと言ったり
様子を見ているとマナーがなっていない、常識だ、遠慮というものを知らないのか、などと言ったり
 
そんなもの自由だ、義務じゃない、拘束されるいわれはない、などと言い返したり
そんなもの自由だ、義務じゃない、拘束されるいわれはない、などと言い返したり
 
不毛と思える言い争いが長く続いていました。
不毛と思える言い争いが長く続いていました。
 
同じく公園に居る人は前者に賛同したり、後者に賛同したり、よそでやってくれと傍観していたり様々です。
同じく拡声器を使っている人は前者に賛同したり、後者に賛同したり、内緒でやってくれと言ったり様々です。
 
Aさんはゆっくり休めると聞いてこの公園に足を運んでいましたが、
Aさんは経験値を稼げると聞いてこの人気狩場に足を運んでいましたが、
 
こんな不毛な争いが続くのなら他のところの方が良かったかなと思い、
こんな不毛な争いに巻き込まれるくらいなら他の所に行った方が良かったかなと思い、
 
次の日からはここには来ない方がいいだろうと考えました。
次の日からはここには来ない方がいいだろうと考えました。
 
 

 
さて、Aさんは結局この公園に来ないことを選びましたが、
 
これを読んであなたはどう思いましたか?
 
何かに似ているとは思いませんでしたか?
 
どこかで見た、聞いた、経験したことがあると思った人は
 
その時の自分の立場はどの人に似通っていたでしょうか?
 
自分がどうであったのか、それが良かったのか悪かったのか省みてみるといいでしょう。
 
もし、よくわからないという人がいたのなら
 
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そして全体をもう一度読んでみて、自分の姿を省みてみましょう。
 

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